SNS上ではとにかく不評な日本の仮想通貨規制。
特に、仮想通貨交換業者への締め付けが強く当初16社いたみなし業者も今では3社を残すのみで審査の厳しさで有名です。
登録完了済みの企業ですら相次ぐ業務改善命令が下された事から、「金融庁は日本の仮想通貨市場を潰す気」とまで言われている始末です。
実際の処分内容を見てみると確かに業務改善命令が出てもおかしくない内容ですが、仮想通貨市場を投機的に見ているとすればそれも仕方ないのかもしれませんね。
そんな日本の仮想通貨に対する規制に対して「ビジネスセンスがない」として懸念の声が上がっています。
規制の弊害で日本は遅れている
7月21日に東京大学で開催された「HashHub Conference 2018」で、創法律事務所の斎藤創氏は「仮想通貨の規制強化の弊害で、日本は世界に遅れを取っている」と指摘しています。
「HashHub Conference 2018」は、株式会社HushHubが主催したイベントで、仮想通貨やブロックチェーン分野の論点が提示される場となりました。
日本では2017年に施行された改正資金決済法(通称仮想通貨法)で仮想通貨が法的に定義され、仮想通貨交換業が登録制となりました。
しかしながら、2018年1月末に起きたコインチェック事件を境に、金融庁は仮想通貨交換業者への締め付けを強くしています。
特に立入検査を次々行い、業務改善命令が繰り返された事で登録を辞退する業者が続出する結果になりました。
この状況を斎藤氏は次の様に語っています。
金融庁はみなし交換業者、登録済みの交換業者への立ち入り検査をし、業務改善命令を多数出した。業界に厳しい姿勢を取り、浄化したい状況だ。仮想通貨取引所を厳しく規制するのはいいとして、その一方で弊害が出てきている。スモールビジネスや新しいビジネスに対して、仮想通貨取引所と同じような厳しい規制が付くとビジネスができず、日本は世界に遅れを取っている。業界として巻き返しを図らないといけない
企業OmiseGoメンバーでもあり「ブロックチェーン会計士」を名乗る柿澤氏は、日本の税制と規制に対して「センスが無い」とし、日本全体のシェアの縮小を危惧しています。
日本のICOは消滅、アメリカは規制をしてもICO大国
2017年から2018年にかけて良くも悪くも話題が尽きないICOですが、厳しい規制で知られるアメリカはそれでも実施件数が世界一である一方、日本ではICO実施件数0という事態になっています。
この状況についてアンダーソン・毛利・友常法律事務所弁護士の長瀨氏は日本の業界団体の自主規制の範囲内でICOを実施していく方が良いとしています。
規制とICOの相関関係については、「規制以前にルールが出来ていない」とし、厳しすぎる規制が将来有望なビジネスを阻害している状況はAirbnbやライドシェアと同様当てはまると述べています。
さらにICOトークンが有価証券に該当するのか否かの議論もあります。
現在のところICOトークンは有価証券となる可能性が非常に高く、仮に有価証券として扱う事になればアメリカではSECの管理下で行われる事になります。
そのICOについては大半、もしくはそれ以上が詐欺的であるという指摘があります。
これについて柿澤氏は「プロダクト自体が出ないICOが何百件とある」とし、これは従来のVCでもまず判定出来ない案件であると述べた上で現在のICO事情を「金持向けのビジネスになっている」と述べています。
金融庁の締め付けは既存業者の参入希望の表れ?
金融庁は金融業の一種として扱う事になり、コインチェックも資本を入れ替えた事でマネックスの子会社になりました。
これに対して斉藤氏は金融庁の希望としては「金融知識を持っている会社による交換業の営業」を希望しているとし、現在残っている業者で生き残る業者はわずかであるという見方を示しています。
この理由として、交換業者に金融の知識・技術が無い事を挙げ、ゆくゆくは統合していくとの見方を示しています。
柿澤氏が問題視しているのは「多様性の喪失」であり、海外では20を超えるビジネスモデルが誕生している事に対し、日本では仮想通貨取引所とマイニングしか存在していない事であり、新しいビジネスの誕生というトッププレイヤーの入れ替えによる新陳代謝も無い事から、一律の規制で日本の国際競争力の衰退があり得ると述べています。
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