世界各所で仮想通貨の不正流出が起きていますが、取引所による管理ではなく自身で管理をしあいと思うユーザーが増えています。
特にハードウォレットの売り上げはコインチェックの事件以降右肩上がりで、一時期納品まで2~3カ月待ちになる程でした。
他にもペーパーウォレット等、リスクを軽減するシステムはありますが、スタートアップのGincoは取引に利用する「秘密鍵」をスマートフォンアプリ内に閉じ込める仕組みを開発し、仮想通貨の自衛意識に新ビジネスを見出しています。
フィンテックのスタートアップであるGincoが1億5千万円の資金調達を発表したのは、コインチェックのNEM流出事件からわずか5日後の事で、森川夢佑斗社長は「タイミングは偶然だったが、交換所のトラブルは必ず起きるとみていた」と話しており、元々は2014年に起きたマウントゴックスの事件を念頭に置いた物だった事が伺えます。
仮想通貨を送金したり受け取ったりする操作は公開鍵と秘密鍵と言われる二つの鍵を利用・照会する作業にて行われますが、これらを収納しておくのが「ウォレット」と呼ばれる存在で、交換所は何名ものウォレット(鍵)を預かる業者という事で、一元管理している事から狙われやすく、攻撃を成功させてしまった場合は利用者の仮想通貨が根こそぎ奪われるというデメリットを持っています。
森川社長は「交換所は売買の為に存在しており、ウォレットを置きっぱなしにする場所ではない」と警告し、スマホアプリをウォレット化する仕組みを提唱します。
脆弱性が見つかる度にOSのアップデートが行われるスマホはハッカーに乗っ取られるリスクは低く、セキュリティを強くしたアプリに鍵を格納する事で仮想通貨が流出する可能性を低くすることが出来ると森川社長は考えています。
Gincoが4月にリリースしたアプリはビットコインやイーサリアムといった主要17銘柄に対応しており、シンプルな操作が可能な裏ではセキュリティに関して複雑な工夫が凝らしてあります。
ハードウォレットに比べて使いやすく、手軽に入手が可能という事もあり、こういった「スマホで鍵を管理できる」アプリは今後増えてくる可能性はありますが、Gincoはその先駆けとして期待されます。
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