GDPRとブロックチェーンは矛盾する? 削除不可能性で欧州フィンテック業界が混乱

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EUのブロックチェーン技術者の間で混乱が広がっています。
混乱の原因となっているのは、5月25日に施行された「一般データ保護規則(GDPR)」という新しく施行された個人情報の削除権を保障する制度です。

 

GDPRは前述の通り5月25日に施行されましたが、その初日にGoogleやFacebookと言ったIT企業が次々に提訴され、いくつかの報道機関のサイトはGDPRの基準に合わないとの事でヨーロッパ内での接続を遮断しました。
しかし、これらの事象はブロックチェーン業界が受けた、もしくはこれから被るであろう事に比べたら比較的小さな問題なのかもしれません。

 

そもそもブロックチェーンの特性とは、暗号化された情報をブロックに格納し、それらのブロックをチェーン(チェーンは比喩であり、実際は暗号化されたハッシュ値という数値)で繋ぎ合わせる事で不可逆性を実現した技術であり、一度記録された情報は改ざんは勿論、半永久的に残るのが特徴です。
この「不可逆性」は言い換えれば削除も出来ないという事でもあり、分かり易く言えば、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)への書き込みは管理側に通報する事で削除してもらう事も可能ですが、ブロックチェーンプラットフォーム上の掲示板に書き込みをした場合、後で削除する事は出来ないという事です。

 

GDPRの規則によれば、個人情報を保有するのは「必要な時のみでそれ以外では削除する」として、これを削除権として保証しています
削除権と言うと難しい意味で考えてしまいがちですが、これは言ってみれば個人の「忘れられる権利」を保証しているということです。

このブロックチェーン技術の根幹にある不可逆性とGDPRの「忘れられる権利」の矛盾を解決する方策が議論されていますが、決定打となる方策は見つかっていないみたいです。

 

ではこのブロックチェーン技術の研究が隆盛を極めている今、なぜGDPRが成立したのか?という疑問が出てきますが、GDPRはここ最近でパッと出て作られた制度ではなく、クラウド技術全盛時代に議論された制度です。
クラウド技術、例えば各種掲示板の様に中央集権化しているサービスでは、個人情報をユーザーが自由に出来ず、サービスを提供する側が収集した個人情報を管理する事が当たり前だった時代があり、ユーザーが自身の個人情報を好きに削除できない、つまり忘れてもらう事が出来ない状態でした。

 

この問題を解決する為に作られたのがGDPRであり、当時の水準で言えば当然の制度だったわけですが、そこからわずか数年の間に「不可逆性」を持つブロックチェーン技術が台頭したことで矛盾が生じたというわけです。

次の技術革新がどの様な物であるのかは分からないものの、それが出現するまではブロックチェーンが世界の技術の最先端である事は間違いなく、GDPRとブロックチェーン技術の矛盾をどの様な形で折り合いをつけるかが注目されます。

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