ドイツのベルリンから誕生したEnvion社は、マイニング事業を展開させる為にスイスのツーク州に拠点を置きましたが、今回ドイツで起きた1億ドル規模の仮想通貨不正疑惑が、スイスにも影響を及ぼしています。
今回は仮想通貨に寛容な姿勢を見えているスイスの規制環境が仇になった形になります。
ドイツ人が中心になっていて、紛争解決にあたっているのはベルリンの裁判所ですが、当事者であるエンヴィオン社が2017年10月にツーク州バールに拠点を置いた事により、スイスも無関係ではなくなっています。
エンヴィオンは仮想通貨のマイニング事業の拠点にスイスを選んだ事について、仮想通貨事業に関して寛容な規制環境が整っていると述べています。
2018年はじめ、仮想通貨を利用した資金調達「ICO」で投資家から1億フラン(約110億円)を集め、移動可能なコンテナ型のマイニングファームを開発し、太陽光等の再生可能エネルギーを利用したマイニングを開発・実現しました。
株式の譲渡
ICOが完了してすぐに、Envionの創業者とヴューストマンCEOの間で問題が発生しました。
お互いに不正行為をしていると言い出したのです。
創設メンバーは、ヴューストマン氏により株式の保有率を81%から33%まで減らされ、不法にエヴィオン社の支配権を奪われたと主張し、ヴューストマン氏はその後、弁護士に株式の過半数を譲渡しており、創設者メンバーは今回の「策略」をベルリン裁判所に提訴しています。
ヴューストマン氏側は、株式を譲渡した事は認めつつ、「ICOによるトークン発行に不正疑惑がある事を見つけた為」と語っており、正当であるとの主張をしており、エヴィオン社のプレスリリースによると、創設者メンバーは取締役会の承認を得る事無く4千万ものトークンを余分に発行したと述べています。
状況は泥沼化?
今回の騒動は、ベルリン当局だけでなくスイス連邦金融市場監査局(FINMA)の両方に報告されており、FINMAは「現在進行中につきコメントできない」と述べるにとどまっています。
ベルリンを拠点とした創設者メンバー側の弁護士はヴューストマン氏がトークンを余分に発行した事を認識していたと主張し、創設者メンバーがトークンの無効化を主張したものの無視されたと語っています。
この騒動で、ICOによる資産を持つエンヴィオン側と、移動型マイニング設備の知的財産権を持つ創設者側との溝が深まっており、ICOで発行されたトークンの代わりに別の通貨が発行され、投資家が保有しているトークンが無効化する可能性も出ています。
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