ブロックチェーンがビジネスと技術を変革していく様子には目を見張るものがあり、以前から仮想通貨やブロックチェーンに注力していた人がいたとはいえ、1年前ですら認知度は低く、受け入れる者などいなかったのではないかと思います。
ブロックチェーンが、ただの記録をする為の技術であったり、投機的な目的の為のツールから離れて来ると、ブロックチェーン技術自体の価値も急速に高まりました。
この技術の開発を手掛けて収益を得るスタートアップ以外の企業が、既存の物よりも安全で迅速、そして効率よくビジネスを機能させる方法を生み出したからです。
業界の効率化を進めるAI
純粋な「価値」として見るなら、情報が石油に代わる新しい資源として認められつつあります。
例えばGoogleやFacebookといった企業は、Gメールやメッセンジャーという無料サービスを提供する事と引き換えに、ユーザーから得たデータを自社のビジネスに利用しています。
その代表例の一つが、顧客のオンラインでの行動や選択を機械に学習させ、データの精度を高めるAIアルゴリズムといったものです。
わたしたちはただ漠然とグーグルやフェイスブックを使っていますが、わたしたちの行動は各々の企業がデータ化してサービスに活かしているわけですね。
もっと具体的には、Gメールはユーザーがスパムメールにタグを付けることが可能で、その行動でグーグルがスパムメールを識別するアルゴリズムを強化します。
この様に自社のビジネスプロセスを最適化し、外部企業に対するデータの価値を高める上で、こうしたフィードバックが非常に重要視されています。
その一方で問題視されるのは、こういった企業がデータの独占をしていることです。
情報を収集・利用・保管して自社内で利用する為に、自社サーバーを利用し、他社のAIがこういったデータから恩恵を受ける事や、利益を上げる事が無い様にしています。
もう少し加えると、ユーザーが意識せず提供しているデータは情報が企業にとって非常に重要であるにも関わらずその対価を受け取れない状態です。
こうした状況に一石を投じようとしているのが、ブロックチェーンのスタートアップの1社であるシナプス社です。
世界初のデータとAI利用に関する分散型の売買システムを構築しつつあります。
このサービスの肝は誰でも企業のデータ収集に協力が可能で、AIシステムの強化に貢献できる機会を提供できる事にあり、提供したデータの対価として報酬を得られるという仕組みです。
こうした取り組みではシナプス社が他社に先んじて行っている事もあり、現在は準備段階でありながらも、2025年までに56%の成長が予想されるAI業界の主要企業の一つと自称しています。
成長率の数字は、AI関連の取り組みからもたらされる600億ドルの収益に匹敵するものであり、そのコアとなる物がデータ(情報)というわけです。
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